You're a RPG Suicide.

Web拍手返信など。はてなダイアリーから移行しました。

ゲド戦記

 観てきました。
 映画化されると聞いてさっそく原作を購入し、半年ほど前に4巻まで読了。
 準備は万端と地元の映画館に足を運びます。


 端的な感想ですが、とりあえず原作の世界観は表現されていません。かといって、この作品単体でみて世界観を示せたかというとそれも失敗しています。原作のストーリーは殆ど原型を止めていなくて、さらにその再成型の結果は、原作を知らない人にはただ「意味不明」と映ったことでしょう。いや、原作は面白かったんですよ、本当に…


以下ネタバレ。
 冒頭。高貴そうな人が沢山あつまっているのでロークの学院だと思ったら、エンラッドの王宮シーンだった。各地で流行している家畜の病、凶作の報告など、世界を暗い影が覆いつつあることが語られます。さてはこれからアレン王子をロークの学院に送り込む会議かと思っていたら、特に何事もなく解散。そして、暗い廊下を一人歩くエンラッド王…


背後からしのびよって王を刺殺、宝剣を強奪するアレン王子。


( ゜д゜)


 原作では世の灯台たる大賢人ゲドへの使者として公式に送り出されたはずなのに…


 続いてのシーン。もうすでに旅に出ている大賢人ゲド(ハイタカ)。はてみ丸で大海原を進みます。上陸。そして全くの偶然でアレン王子とランデヴー。そのまま旅を共にすることになります。
 やがて2人は徒歩でホートランドの街にたどり着きます。そうです。もうこの映画では「はてみ丸」の出番はもうありません。
この大都市ではドレイ売買やハシュ(麻薬みたいなもん)が蔓延しています。原作にも出てきた元呪い師のおばさん登場。
 「呪いなんてもう誰も信じやしないよ!」いやまあそうなんですけど、この世界に魔法=呪いが存在して機能しているという世界観が全然説明されてないので(一応冒頭で風の司がどうこう言ってたけど、原作知らないとあれも意味不明)、原作で感じられた深刻さが全然感じられません。
 一旦パーティー解散。どうもアレンは何かに追われているようです。そりゃ父親刺したんだから追っかけられて当然だろうけど…まあそういうわけではないです。その正体は後々明らかになります。
 アレンは人狩りが少女を追っている場面に出くわします。ここでテルー初登場。ゴントにいるはずの君が何故ここにいるのって思った辺りであいにくと腹の調子が悪くなり、トイレに直行。戻ってきたらゲドがアレンを奴隷商人から救出したところでした。首輪アレン見逃したな…(割とどうでもよい)
 さて、ゲドはアレンを連れて、テナーの家へ向かいます。だからなんでゴントにいるはずの(ryというツッコミはさておき、ゲドはテナーに再会します。そこにはテルーもいます。ここにいたということは、僕が見てないシーンの間に人狩りから逃げ延びて、代わりにアレンが捕まってたのでしょう。
 テナーの家で食事をいただいて、農作業にいそしむゲドとアレン。いいのかこんなにのんびりしてて。そして牛を牧舎に入れようとしたアレンがテルーと遭遇。「いのちをだいじにしないやつなんかだいきらいだ!」どうやら奴隷商人との争いの一件のことを言っているらしい。そんなに重要な台詞でもないような気がするがCMでは何度も聞いた覚えがあるなあ。
 この辺でクモがさっそく登場。マスターシーン。なんかイメージ違うなあ。ていうかワトホートにいたのかよ。近っ!世界の端で黄泉の世界の奥の扉をこじ開けてるんじゃなかったのか。そして心臓握りつぶすみたいな魔法を披露。なんだかなあ。
 テルー独唱シーン。脈絡は無い。これに感動して仲直りするアレンとテルー。しかし「僕はここにいてはいけないんだ」と言ってアレンはテナーの家を去る。追いかけてくる影は、アレン自身?どうやら物語冒頭からおびえ続けていたのはこの影に対してだったらしい。それって1巻のゲドのエピソードだよなあ…
 ゲドの留守中にクモの手下のウサギに拉致されるテナー。ついでにアレンも捕まって、真の名である「レバンネン」を聞き出される。テルーはゲドへのメッセンジャーとして取り残されることに。
囚われのテナー。「アチュアンの墓所を思い出すわ…」そんなこといわれても原作読んでない人はどう反応したらいいんだろう。
 テルーに知らされてテナーを助けに向かうゲドだが、問答の末にクモに捕縛される。問答から分かったことは、クモの目的は永遠に生きることらしい。しかし、世界の均衡が崩れているのは、人のしわざだ(クモ談)とのこと。お前の仕業じゃなかったのかー…原作無視だよなあこれは…。
 この後の展開は(いやこれまでの展開もだけど)原作全然関係ない展開なので適当に流します。アレン(レバンネン)の影に出会ったテルーが大活躍。アレンは自分の影を取り戻してヒーロー化。魔法が解けて醜悪な老人というかクリーチャーに化していくクモとの決戦。命は限りあるものだから大切なんだとかなんだとか問答。死にたくない死にたくないとわめくクモ。クモとの戦いの決着は


竜に変身したテルーのドラゴンブレス


( ゜∀゜)アヒャヒャー


竜=テルーに乗って空を舞うアレン。そして人間の姿に戻ったテルーに向かって「僕は国へ帰って罪を償う(親殺しですよ)。いつか必ず君に会いに戻ってくるよ」→エンドロール
 なんともまあカオスな作品に仕上がってしまったことでした。冒頭で互いに食い合ってる竜の片割れがテルーだったんだなあという解釈をしてる視聴者もいるし。でも実際そうとでもとらないと意味不明だし。
 最後にエンドクレジット。原案:宮崎駿シュナの旅エッ、シュナの旅そのまま映画化したらいかんかったの…?