You're a RPG Suicide.

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共同体ジェネレーター

さて、我々TRPGゲーマーがセッションを行う際、普通は村とか町が舞台に含まれる。もちろんいきなり「それでは君達の前に漆黒の洞穴が口を広げている……」から始まるようなセッションも、主にコンベンションにおいては発生するであろう。が。普通は村とか町を訪れ、情報を集めるところから始まるもんである。
あらかじめシナリオハンドアウトを用意しておくタイプのRPGでは問題ないが、そうでないタイプのRPG……すなわちソードワールドRPGや、ここで主題になるダンジョンズ&ドラゴンズにおいては……作成されたキャラクターは基本的には背景情報を持たない。
背景情報を持たないものだから、人生の目的なんてのも自分である程度考えていかなくちゃならないことになる。もちろん、キャンペーンの方針があらかじめ明確に決まっているのであれば、それに沿ったキャラクター作りをしていけばいいわけだが。しかし。再三プレイヤーに、好きに背景設定していいですよ、と言ったところで、キャンペーンの根幹に深く関わるようなキャラクターが作成されたのを見た覚えが無い。王侯貴族の子弟でも構わないとまで言ったつもりなのだが。
しかし、これはまあプレイヤーサイドから見れば仕方の無いことである。これから展開される世界がどうなっているかなんて、オープンされるまではDMの脳内設定≒妄想の詰め合わせセットでしか無いわけで、そしてそれは口で説明したってそうそう伝わるもんではないのだ。
やはり、あまり大きすぎる世界観*1におけるキャラクターの立ち位置というのはピンと来ないのであろう。私だってそうだ。国がどうとかより、家族の方が大事というキャラクターの方がイメージしやすいし、プレイしやすいだろう。そういうわけで、キャラクターの身近なところを考えるにあたって、ダンジョンマスターズガイド*2に掲載されているランダム共同体生成チャート集に注目してみることにした。これでホームタウンを作り、NPCと仲良くなってもらったりしてキャラクター造形を深めてもらおうという狙いである。なんか今更な気がするけど、真面目に使うのは今回が初めてなんで、そういうことで。
これは、元々はセッション……というよりはキャンペーンの途中で、予期していなかった共同体(都市、町、村、集落)をサイコロを振るだけで自動的に生成してくれるという、アホかと思うくらいパワフルなアメリカ人魂の篭ったチャートである。表が沢山あるゲームは素敵ですよ。そうですよね、とけねこ先生*3
さて、まず人口規模の表から振ることになる。これが、人口20人規模の集落から25000人以上の巨大都市まで網羅してるのが笑える。たまたま立ち寄った町は、人口25000人の都市でした〜とか、ありえなくないですか?(笑) 5%で人口12000超えるんだからなあ、もう(笑)
次の表は権力中枢。これで町の支配者の属性とか、実はモンスターだとか、そういうのが決まっちゃいます。やばいなあ、悪属性になる確率が35%もある(笑) これだけでシナリオになりそうな気がしますね。っていうか世界の3分の1は悪か。バランス理論?
共同体には警察機構がある。まあ、町を一歩出れば危険なワンダリングモンスターが徘徊しており、オークやゴブリンがいつ攻めてくるか分からない世界では自衛機能は必要不可欠なのであろう。ちなみに、この表は凄くシンプルで、項目が3つしかない。1番レベルの高いウォリアー*4、2番目にレベルの高いファイター、1番レベルの高いファイター。……戦士系。戦士系は意志セーヴが低いので、チャーム・パースンとかよく効くだろうなーとか考えないでくださいね、そこのウィザードプレイヤーさん。しかし、警察トップがファイターだと魔法攻撃には弱いんだろうなあ。フェイルーンみたいに魔法が一般的な世界ではもちっと状況は変わるのだろうか?
さて、次の表が最も素晴らしくドラマチックな表である。何かというと、その共同体に住んでいる全てのNPCのクラスとレベルを決定するという表である! つまり、町の全住人*5をこれで自動的に決定することが可能なのだ。馬鹿馬鹿しいようだが、これがなかなか振ってて面白い。共同体の規模によって修正が入るのだが、小さい村とかだとマイナス修正がクラスレベルに入るので、0以下になったときはそのクラスのキャラが居ないことになるのである。ためしに人口500人の村で振ってみたら、クレリックが居ない村が発生した。クレリックが居ない……誰か冒険で能力値吸われたり、死者が出て、自分達で解決できなかったら大変なことになる! ドラクエでいうなら神父のいない町だ。セーブできないよ!*6
がりがり表を振って出現したキャラクターに、色々設定考えていくのは楽しいもんである。これはDMしか味わえない楽しみだろう。都会にいきなり発生したバーバリアンの一団は何者か? とか、この街の盗賊ギルドはやばい*7……とか。
まあ、これらのチャートを使っても街の雛形しかできないわけだが、ゼロからやるよりははるかにやりやすいだろうと思う。思いもかけないドラマが生まれるかもしれないし。例えば、この村に一人だけいるレベル1のパラディンは、実は追放された王族の末裔で……みたいな感じで。ダンジョン・ハックに飽きたら、とりあえずこの表を振ってみるというのはいかがだろうか。そこには今まで体験したこともないようなシティ・アドヴェンチャーの扉が待っているかもしれない。

*1:一大帝国とか、一大陸とか、そういうレベル

*2:DMG

*3:デュラに行ってみたいという俺はどうなんだろう。

*4:NPC用クラス。ボーナス特技の無いファイターと思えばよい。

*5:20人の集落から25000人の巨大都市まで!

*6:そもそもTRPGはセーブできない。スターオーシャンTRPG除く。

*7:頭領がレベル20だとか