You're a RPG Suicide.

Web拍手返信など。はてなダイアリーから移行しました。

アーチャー道 〜ダンジョンズ&ドラゴンズ3.5版

参考アーチャー記事(3.0版用):http://rainbow.s140.xrea.com/cdspe/prestige/pre10_archer_top.htm
先達の方のこうした記事が存在するが、3.5版に移行するに従って色々とルール周りが変更になったので、3.5版用の記事を書いてみようと思う(PCに弓専レンジャーがいるのだ)。
D&D3.5版(以下D&D)において、弓矢は予備武器(サブウェポン)として非常に重要である。戦士系の武器の王道はロングソードないしグレートソードであるが、これらは近接武器であるからにして、当然遠くの敵には当たらない。さらに加えるなら、空を飛んでいる相手には届かない。レベル5のウィザードはすでにフライ呪文を行使することが可能であり、上空を飛び回りながら戦士達に向かってファイアー・ボール呪文や、マジック・ミサイルのワンドを連射してくることだろう。危険な敵はウィザードに限らない。たとえばドラゴンが《ホバリング》特技を取得していれば、そのドラゴンはこっちの武器が届かない位置に滞空しながらブレス攻撃を連発することができるのである。ウィザードならともかく、ドラゴンはhpが高いので、呪文で一撃というわけにもいかない。しかし、持久戦に持ち込むと回数制限がある呪文の方が不利になるのは目に見えている。ぶっちゃけ、『詰む』。どうにかしてこの事態を避けられないか? そう、そこで弓である。
しかし、D&Dにおいて、弓矢で大ダメージを与えることは難しい。なぜかというと、標準のショートボウ、ロングボウのダメージには、筋力ボーナスが入らないからである。ペナルティはしっかり入るというのに……クロスボウならペナルティは減らせるが、装填に時間がかかるなど難も多い。リピーティング・クロスボウという手も無いわけでは無いが。
この問題はコンポジット・ボウを使用することによってかなり軽減される。コンポジット・ボウ*1は、弦の張りの強さによって筋力等級があり、この弓なら+いくらまで筋力ボーナスがダメージに乗る、と示されている。自分の筋力より高い等級の弓を使うとペナルティをくらうし、自分の筋力より等級の低い弓を使っても別にいいことは無いが、これで低くなりがちな弓のダメージをいくらか向上させることができた。
が、しかし。いくら筋力ボーナスがコンポジット・ボウに乗るようになったからといって、その追加ダメージは+1〜+4程度である。コンポジット・ロングボウの基本ダメージダイスが1d8であるからにして、そのダメージは1d8+4。最初のうちはこれで済むだろうが、このダメージでは中盤以降少し心もとない。近接メインのキャラは射撃関係の特技を取っている暇が無いだろうから、魔法付きのコンポジット・ロングボウで1d8+5とかで我慢することになる。
さて、ここから本題に入ろうと思う。前置き長いなあ。読んでる人ごめんなさい。まあ何を述べるかというと、弓を自分の最も得意武器とする、専門弓兵の作成方法である。彼らにとっては、むしろ近接武器の方がサブウェポンなのだ。
アーチャー道は、弓ダメージ及び命中率をどこまで上げられるかというそこに終始する。どのみち両手を空けておかないと弓やクロスボウは使えないので、防御力を考慮している暇は無いのだ。むしろ近づかれる前に殺れというのがアーチャー道である。さて、弓ダメージ及び命中率を上げる手段を考えてみよう。
弓のダメージは、前述のように高い筋力とコンポジット・ボウによって増加させることができる。強いアーチャーは筋力が無いとダメってことだ。筋力が無いとダメなのは、普通の近接系戦闘クラスにも言えることである。しかし、アーチャーを目指すなら、もう一つの条件が必要になる。
それは、十分に高い敏捷力である。D&Dにおいて、近接攻撃ロール*2の基本値は基本攻撃ボーナス(以下BAB)+筋力ボーナスであるが、遠隔攻撃ロールの基本値は、BAB+敏捷力ボーナスなのである。ノロマは優秀な弓兵にはなれないということだ。ちなみに、重い鎧を着ていても、アーマー・クラスへの敏捷力ボーナスは制限されるが攻撃ロールへの敏捷力ボーナスは制限されないのでフルプレート射手は全然問題ない。
能力値的には高い筋力と敏捷力が必要ということでカタがついたと思う。次はクラス選びである。まず候補に挙がるのは、多彩な特技を習得できるファイターと、戦闘スタイルの選択で弓スタイルを選べるレンジャーだろう。さて、どちらの方が有利だろうか?
この問題は甲乙つけがたい。ファイターであれば、《武器開眼》の特技によって、弓ダメージを+2することができる。ダメージブーストの手段が少ないアーチャーにとっては、2点といえども馬鹿にすることはできない数値である。一方、レンジャーは、《武器開眼》をとることができない。その代わり、Favored Enemy(得意な敵)特殊能力によって……得意な敵にしか有効でないのが難点だが……ダメージを2点刻みで上昇させることができる。
これだけだとファイターの方が汎用性がありそうだが、レンジャーにはレンジャー呪文がある。基本ルールだけだとどうしようもないが、追加レンジャー呪文*3には、次に命中した攻撃が自動的にクリティカル・ヒットになるハンターズ・マーシーなどという呪文がエントリーされていたりする。しかも、1レベル呪文なのだ。
まあなんとかこれで1d8+7くらいの打撃力が出せるようになった。しかし、1レベルハーフオークバーバリアンが激怒してグレートソードで殴ると2d6+10ダメージが出たりするので、やはり近接武器には敵わない。《近距離射撃》特技で30ft以内の敵に+1ダメージできるのでさらに1d8+8になり、ここまでやれば相当な脅威を敵に与えることになるが、遠隔攻撃には《強打》の追加ダメージが乗らないなどもあり、どうしてもダメージに限界を感じてしまう。
もう、こうなったら、上級クラスへ行ってしまおう。だが、ダンジョンマスターズガイド収録のアーケイン・アーチャーは特殊能力の使用回数制限が厳しすぎて役に立たないので、戦士大全収録のオーダー・オヴ・ザ・ボウ・イニシエイトになろう。というより、このクラスの他にまともなアーチャー系上級クラスは無いというのが現実である。
さて、ボウ・イニシエイトの威力とは……なんといっても遠隔痛撃能力であろう。これはローグの急所攻撃と同じように追加ダメージを出す特技だが、相手が立ちすくみ状態である必要が無い。しかも2レベルにつき1ダイス分上昇し、そのダイスはなんとd8である。標準アクションなので1ラウンドに1回しか使えないという欠点はあるが、それを補って余りある打撃力である。最終的にはその追加ダメージは+5d8なのだ! 急所攻撃同様、アンデッドや人造には効かないというのは欠点であるが、いままで1d8+8が関の山だった遠隔攻撃ダメージが、いまや6d8+8である。当然矢の本数回だけ試みられる。*4ボウ・イニシエイトを極めれば*5、60ftまでの敵に遠隔痛撃を決められる。素晴らしい。ついでにいうなら、この上級クラスは、2レベル目で近接状態で矢を撃っても機会攻撃を受けない特徴を得る。乱戦の中でも撃ち放題だ。つええ。
忘れていたが、《束ね射ち》の特技は必修だろう。これは、標準アクションで複数本の矢を同一対象に撃ち込むという特技である。もちろんペナルティは喰らうが、標準アクションで撃てるということは、移動してから攻撃できるということなのだ。こいつも30ft以内の敵にしか効果が無く、またクリティカル・ヒットや急所攻撃の効果は矢の内1本にしか適用されないという弱点はあるが、近接攻撃クラスが移動後に1回しか攻撃できないのに比べると、命中率にこそ劣るものの、移動後に遠距離目標にたいして、複数回攻撃を行うことができるのと同等なのだ。
ちなみに、《束ね射ち》の際には1回しか攻撃ロールを行わない。全弾当たりか全弾外れかのいずれかである。ということは……そう、トゥルー・ストライクの出番である。
次の攻撃ロールに+20のボーナスを与えるこの呪文と《束ね射ち》は非常に相性がよい。ソーサラーを1レベルでいいからとってしまって、トゥルー・ストライクの発動をできるようにしてしまおう。《早抜き》特技をとる余裕はアーチャーにはあまり無いが、これがあればトゥルー・ストライクのワンドを使って2ラウンドに1回、ほぼ必中の《束ね射ち》を食らわすことができる。オーダー・オヴ・ザ・ボウ・イニシエイトであればさらに遠隔痛撃ダメージが乗る。うむ、素晴らしい。
ちなみに、サイオニクス・ハンドブック3.5版には、《束ね撃ち強化》なる特技が載っているらしい。これは、《束ね射ち》の際に複数対象を選べる(それぞれ別に攻撃ロールを行う)というものらしいが、別々に攻撃ロールを行うということは、そのそれぞれに遠隔痛撃ダメージが乗るということであるのだ。私は原文を読んだことが無いが、この特技は同一対象を狙っても構わないらしい。ということは……標準アクションで撃った複数本の矢全部に遠隔痛撃ダメージが乗ることになる。これは強烈。トゥルー・ストライクの恩恵はガクンと弱くなるが、考慮に値する特技であると思う。
さて、アーチャー道を邁進するのであれば取る特技の選択肢は殆ど無いわけだが、《精密射撃》は必要だが、《精密射撃強化》は、シーキング効果*6がついたボウが手に入れば要らない気がする。むしろ、プレイヤーズハンドブック2所載の《遠隔武器体得:刺突》がオススメ。なんと命中とダメージにそれぞれ+2である。もちろん金があるなら、ブレイサーズ・オヴ・アーチェリーを手に入れよう。レッサーは命中に+1、グレーターは命中+2かつダメージ+1である。
さて、キャラクター設計に移ってみよう。基本設計は、ファイター5/ソーサラー1/オーダーオヴザボウイニシエイトXか、レンジャー5〜6/オーダーオヴザボウイニシエイトXといった感じになると思う。レンジャーの方にソーサラーを入れてないのは、ハンターズ・マーシー呪文とトゥルー・ストライク呪文が基本的には同時に使えないということに起因する。特技は、《近距離射撃》、《精密射撃》、《速射》、《武器熟練》という感じでとっていくことになると思う。そしてBABが+6になったら《束ね射ち》。後は、《クリティカル強化》や、ファイターなら《武器開眼》、そして《遠隔武器体得》という順番でとっていくといいだろう。《遠射》なんかもあると便利かもしれない。後はお好みで。弓騎兵がやりたいなら*7、《武器熟練》をショートボウにして《騎射》をとるということになるだろうな。そんな感じでした。

ここではファイター系正統派アーチャーを目指してみたが、急所攻撃を利用するならローグからというのもありえる。急所攻撃+遠隔痛撃は強烈な破壊力だろう。ただし、特技数が圧迫されるなどの理由からあんまり正道では無いとは思う。上級クラスになれるの遅いし。それだったら、シャドウダンサーを1レベルだけとったローグで消える→撃つ→消える、のコンボの方がマシかも。筋力を上げる余裕が無いなら、《クロスボウ狙撃手》*8の特技をとるといいかもしれない。これは、クロスボウのダメージに敏捷力の半分を乗せることができる特技である。半分というのがちょっと寂しいが、敏捷力が上がると命中が上がることを考えると、割といい選択肢かもしれない。どうせローグは筋力に高い目を振ってる暇が無いクラスだから。

グレートボウ(戦士大全記載)を使いたいところだが、グレートボウ熟練ではオーダー・オヴ・ザ・ボウ・イニシエイトの前提条件を満たせない。しょんぼり*9

ところで、ディスタンス能力付きコンポジット・ロングボウ+《遠射》+《遠隔武器体得》なキャラの射程単位は350フィートであり、最大射程はなんと3500フィート(約1050m!)にも及ぶ。トゥルー・ストライクワンドがあれば、命中ペナルティを気にせず撃ちまくれる。さらにシーキング能力武器または《精密射撃強化》特技があれば、部分遮蔽は無視。ここまでくると、もはや戦術兵器の様相を呈してくる。気分はゴルゴ13だ。見晴らしのいい高台に陣取らせたりして。問題は標的が目視できるかどうかだが……〈視認〉ランクを上げるのがいいのだろうか。

*1:ショートとロングの2種類があって、無印のボウの《武器熟練》や《武器開眼》が適用されるなど使い勝手がよい。ただし序盤は高価で手が出ないが。

*2:つまり当たるか外れるかの判定。命中判定のこと。

*3:呪文大辞典など参照

*4:08/3/17追記 遠隔痛撃は標準アクションで撃たないといけないのでした〜ごめんなさい

*5:最低でもキャラクターレベルが15Lvに達しないといけないが……

*6:部分遮蔽無視。ちなみにたったの+1ボーナス相当である。

*7:そんなキャラが活躍できるキャンペーンをDMに要求する必要があるが

*8:プレイヤーズハンドブック2記載

*9:と思ったら、ロングボウ熟練系の特技はグレートボウにも適用できるって冒険者大全に載ってた。しかし、ダメージ期待値1上げるために特技1個=《特殊武器習熟:グレートボウ》使うのってどうなんだ?(笑) バスタードソード習熟もそうなんだけど(笑)