You're a RPG Suicide.

Web拍手返信など。はてなダイアリーから移行しました。

(D&D3.5e)二刀流ファンタジスタ〜その1

テンペストの話はやらない』とかいいつつ、二刀流キャラを作ってたらやっぱり外して考えられないので、書くことにした。あ、そのうちサムライとかもやります(今回はやりませんが)。ってか二刀流全般な話で。

二刀流は漢のロマンである。女性にとってもロマンだろう。多分。ファンタジー物を中心としたフィクション作品において、二刀流のキャラクターが登場することは非常に多い。これは、二刀流が通常用いられる武器スタイルの中でも特に奇抜なスタイルであり、ビジュアル的にも目を引くし、キャラクターの個性を際立たせるからであろう。
さて、史実においては利き手で無い方の手には、利き手の武器よりも小型のものを持つことが多い。これは、基本的に利き手で無い方の武器は防御及び威嚇用に用いられていたことを示しているのだろう。まあ、もちろん利き手で無い方で攻撃が出来る長所はあるだろうが。
西洋ではルネサンス期のフェンシングにおいて、レイピアとダガー*1を用いるスタイルがあった。この場合ダガーはほぼ護身用で、用途としては盾に近かったらしい。これは、基本的に決闘用の剣技で、防具としての盾が廃れてから生まれたことに起因するのだろう。ルネサンス期には銃器が主力兵器になってたからなあ。
日本ではやはり宮本武蔵二天一流が二刀流の代名詞だろう*2。で、こちらはというと、やはり戦乱が終わってになってから確立されたもので、私闘以外の実戦で使われたことは殆ど無いと思われる。まあ、戦場で急場しのぎに両手に武器を持って戦うということはあったかもしれないが。
こういう事情を反映してだろうが、D&D3.5Eにおいて、二刀流で戦うとき、利き手で無い方の手の武器が「軽い武器」でない場合、さらに重いペナルティを負ってしまい、使い物にならない。というわけで、基本ルール内では利き手で無い方に軽い武器を持つか、両方軽い武器にしてしまうかというのが実際的な選択肢になる。
期待値的にも、グレートソード両手持ちとそう変わらないし、*3両手持ちは《強打》による追加ダメージが倍になる特典があり、二刀流と違って特技数を圧迫しないという利点がある。ならば、何故二刀流をやるのか?
それは、ロマンである。最初に述べたように、これはゲーム的に強いかどうかの問題では無い、アイデンティティの問題なのだ。……でもまあ、やっぱり強い方がいいよねーって話になると思うので、強いキャラを考えてみる(笑)

強い二刀流キャラを考える上で避けては通れないのがテンペスト冒険者大全で追加された上級クラスである。3E時代は10レベルまであったらしいが、5レベルに圧縮されて強くなったとか。
最大の特徴は、二刀流のペナルティを減らす両手利き能力である。これで、従来の二刀流ペナルティが軽減される。今のところ、二刀流にかかる攻撃ロールのペナルティをゼロに出来るのはテンペストだけなので、貴重だ。
次に重要な特徴は、混合二刀流である。これは利き手に装備している武器に関する《武器熟練》《武器開眼》等の特技を利き手でない方の武器にも適用できるという優れもので、これで《武器開眼》欲しいのでショートソード二刀流で我慢……という選択肢をとらなくても済むようになる。*4
また、二刀流キャラには嬉しいACボーナスを与えるテンペスト流防御術 もナイスである。これは無印ボーナスなので、他のあらゆるACボーナスと累積する。《二刀の守り》で得られるのは盾ボーナスなので、アニメイテッド能力のついた盾があると殆ど意味を成さないが、無印ボーナスなら何の問題も無い*5
最後にもらえるのが、必殺二刀流一撃離脱である。《一撃離脱》をする際に両手で1回ずつ攻撃できる。
技能ポイントは少ないが、何気に〈軽業〉や《曲技戦闘》*6の前提条件である〈平衡感覚〉がクラス技能に入ってるのがいい。……〈手先の早業〉がクラス技能なのは何だろう(笑) ダガーを常に身体に隠しとくのがテンペスト流なんだろうか。
能力的には以上。はっきりいって地味であるが、質実剛健な強さをもっているといえる。

さて、テンペストを組み立ててみようのコーナー。
前提条件が多目なので、少々難儀である。条件は以下の通り。

  • 基本攻撃ボーナス+6、《回避》、《強行突破》、《一撃離脱》、《二刀流》、《二刀流強化》

合計5つもの特技が必要になるので、最短で行こうと思ったらファイターから行くか、レンジャーで二刀流スタイルを選ぶかしかない*7。また、ファイターから行く場合は、《二刀流強化》 の前提条件を満たすために【敏捷力】が17も必要になる。レンジャーの場合は、【敏捷力】は必要無いし、軽装鎧に限られる制限も、テンペスト能力の発揮に必要なので、どのみち問題はない。
が……純粋に戦闘力のみを望むなら、結局ファイターを4レベル入れることになる。理由はもちろん、《武器開眼》およびその上位特技である《武器体得》を得るためである。二刀流キャラが両手持ちキャラに勝るのは、増えた攻撃の全てにこのような追加ダメージを得られるという点である。テンペストには混合二刀流があるので、武器の組み合わせを心配することは無い。また、《大刀二刀流》を習得すれば、両手にロングソードを持とうが、バスタードソードを持とうが、はたまたウォーメイスを持とうがノーペナルティで二刀流攻撃が出来るのである。ついでに利き手で無い方に「軽くない」武器を持てるので、《強打》 が適用できるのも注目に値する。
しばらくの間はこれらの特技の習得に忙しく、設計を広げる隙は無い。テンペストが真価を発揮しはじめるのは、高レベル域に入ってきてからである。
二刀流系列の上位特技はどれも欲しいものばかりだが、全部はとても習得できない。どれを習得するかは好みでいいとは思うが、明らかに強力なものが一つあるのでそれを指摘しておく。
プレイヤーズハンドブック2収録の《二連撃離脱》、および《三連撃離脱》である。
これは、テンペストの最終能力、二刀流一撃離脱と非常に相性が良い。上記の2つの特技は《一撃離脱》のターゲットを2体、3体に増やすことが出来る特技である(しかも同一の目標に攻撃してもよいことになっている!)。《三連撃離脱》の習得には+18もの基本攻撃ボーナスが必要となるので、本当に最終決戦兵器になってしまうが、移動力をなんらかの手段で増やしておくと、敵の全力攻撃を回避しつつ6回攻撃をかましまくるという大暴れが可能になる。まさに大嵐だ。

ここで実例をば。とりあえずは極限まで攻撃力を追求したテンペスト。特技数が本当に厳しいので、人間ファイターをベースに作ってみる。
構成は、ファイター6/テンペスト5/ファイター8/バーバリアン1で。
能力値は、特技の前提条件のため【筋力】15、【敏捷力】17が最低必要となる。

  • 人間……………《特殊武器習熟:ウォーメイス》
  • 1レベル………《武器熟練:ウォーメイス》
  • ファイター1…《二刀流》
  • ファイター2…《回避》
  • 3レベル………《強行突破》
  • 4レベル………《一撃離脱》
  • ファイター4…《武器開眼:ウォーメイス》
  • 6レベル………《二刀流強化》
  • ファイター6…《大刀二刀流》(冒険者大全)
  • 9レベル………《近接武器体得:殴打》(プレイヤーズハンドブック2)
  • 12レベル………《二連撃離脱》(プレイヤーズハンドブック2)
  • ファイター8…《上級武器熟練:ウォーメイス》
  • 15レベル………《強打》or《大業物》(《大業物》 は戦士大全)
  • ファイター10…《クリティカル強化:ウォーメイス》
  • ファイター12…《上級武器開眼 :ウォーメイス》
  • 18レベル………《三連撃離脱》(プレイヤーズハンドブック2)
  • ファイター14…《強打》or《大業物》

こんなところだろうか。最終的には二刀流で3d6ダメージずつ、ダメージボーナスは筋力と特技による修正を加えて利き手:+8、利き手で無い方の手:+7、になる。そして、エンラージ・パースンがかかれば、二刀流で4d6ずつという無茶な基本ダメージを叩き出せる。当然ここに魔法の武器による修正や、【筋力】増強系のアイテムを装備するわけだ。ここでは《上級二刀流》をあえてとっていない。何故かというと、前提条件の【敏】19がかなり厳しい上、《二連撃離脱》を使って4回攻撃を繰り返せば、十分破壊力は得られるからである。ちなみに《三連撃離脱》の前提条件に《上級二刀流》は無いので、18レベルになれば移動しながらの6回攻撃が可能になるのだ。バーバリアンは移動速度が増え、《一撃離脱》戦法の有用性が上がるので、どこかで混ぜておきたい。
問題点としては、《強打》の習得が遅れることと、《イニシアチブ強化》が無いので、先手をとられやすいことである。一度敵の懐に飛び込んだら暴れ放題なのだが、その前に急所攻撃や呪文でサックリやられる可能性がある。できれば、バーバリアンを2レベルとって、Uncanny Dodge(直感回避)をもらっておきたいところである。急所攻撃は防げないが、最低でも+3の敏捷力ボーナスが失われるのは痛い。代わりに、ファイターレベルを1諦めなければならないので、特技は1つ減る。……《大業物》かなあ(笑) 《クリティカル強化》をとらないという手もある。どうせクリティカル効かない敵には意味ないし。メイスは殴打武器なのでキーン武器にして補填するということが出来ないけどね。あと、ウォーメイスを2本使ってるので、ACに−2ペナルティがかかることになる。が、まあ、フレンジード・バーサーカーのことを思えば大したことは無いだろう。

上のパターンは本当に攻撃力のことしか考えていないので、弱点が多い。そこで、攻撃力をある程度落として《イニシアチブ強化》、《迎え討ち》、《攻防一体》などの特技をとっていくのがもう一つのパターンである。
第一に外す候補に挙がるのは、《大業物》 である。《大業物》は命中率とダメージをトレードオフする特技なので、後半敵のACが上がってくるとダメージ期待値はあまり期待できなくなる。というわけでまず要らない。
《クリティカル強化》はキーン武器が使えないウォーメイスの時は出来るだけ欲しかったが、クリティカルが効かない敵も多いので、その場合は何の役にも立たない特技となる。というわけで外す候補に挙がる。
ウォーメイスは強烈な武器ではあるが、ACにペナルティが入ったり、斬撃武器にしかつかない特殊能力が多かったりするので、なんともいえない。バスタード・ソード習熟を代わりにとるという手もある。
《特殊武器習熟:ウォーメイスやバスタードソード》を外すなら、《大刀二刀流》も同時に外してしまうべきである。《大刀二刀流》を外すなら、《特殊武器習熟:ウォーメイスやバスタードソード》も同時に外した方がいいだろう。片手だけやたらとでかい武器を持っていても効果は薄い。また、《大刀二刀流》を外すと、《強打》を入れる意味が薄れるので、まとめて外していい。混合二刀流の効果があるので、利き手で無い方のダメージロールが小さくなっても、ダメージボーナスは両手に入るからだ。ただ、《強打》はダメージ減少を抜く意味で重要な特技なので、出来るだけ持っておきたいのだが*8。ロングソード二刀流やバトルアックス二刀流、さらに《天に剣地に斧》などの武器スタイル特技を狙うのであれば、《大刀二刀流》を残しておいてもいいかもしれない。……ただ、武器スタイル特技は両方の武器に熟練しておかなければいけないのだが。
さて、空いた特技欄に何を入れていくか。とりあえず《イニシアチブ強化》は入れておきたい。テンペストは守りのクラスでは無く、攻めのクラスである。敵陣に突っ込んで陣形を乱すために、是非ともとりたい。そして、突っ込んだ敵中で暴れるための、そして後衛への被害を未然に防ぐ《迎え討ち》。これは前線系の基本特技でもある。まあ片手でしか攻撃できないが、とっておこう。そして、《攻防一体》。「テンペストは攻めのクラス」と書いた文と矛盾するが、ACの低い敵相手に無駄にダメージを喰らう必要は無いし、なにより《足払い強化》の前提条件になる。また、足払いを回避できる《曲技戦闘》も入れておきたい。転ばされると攻撃回数自体が激減してしまうため、二刀流キャラは圧倒的に不利になるのだ。

さて、どうだったろうか。テンペストの強さ、お分かりいただけたかな。……ええ、つまり、早い話が二刀流で戦うだけのファイターです(泣) 意志セーヴも反応セーヴも低いので、呪文くらったらからきしです。もうこうなったらヤケクソでオカルト・スレイヤーを5レベルとってしまうか……。

そういやレンジャーやサムライから転職するって手もあると書いたが、ダメージボーナスが減るので*9、あんまりオススメできません。呪文や特殊能力も弱くなるし。まあ、《武器開眼》はパイアス・テンプラーでもとれるので、それでなんとかするって手もあります。まあ、テンプラーは両手武器+《強打》+一撃で《一撃回数追加》をとった方が強いと思いますが。ダメだな。

あと、踊ってるデルウィーシュにはまず勝てません。だって相手は命中とダメージに同時にボーナスもらってくるんですよ……しかも最大+5。旋舞が終わるまで必死で逃げて凌ぐしか無いかもしれない……。でも乱舞を温存されてたらどの道終わるかも。

次回はサムライでも……サムライ……うーん(笑) まあ、《二刀流》が前提条件になってたり、ボーナス特技でもらえたりするクラスがあるので、その辺の話でもしますかね。

*1:マン・ゴーシュとかソードブレイカーとか呼ばれるやつ

*2:二刀流自体は武蔵以前にあったようだが

*3:特に《武器開眼》とか入ると

*4:《近接武器体得》はダメージタイプが同じでないと適用できないので注意

*5:《二刀の守り》には上級特技である《二刀の守り強化》、《上級二刀の守り》があるが、どちらも盾ボーナス……要らない(泣)

*6:プレイヤーズハンドブック2記載の追加特技。足払いを避けられるのが便利

*7:サムライが一定条件下で《二刀流強化》を得られる能力は、11レベルにならないと取得できない。自力でとればいいが、そうすると特技を一つ損することになる。

*8:二刀流キャラは手数が増える分、一撃の威力は減少する。となると、敵の持っているダメージ減少の影響を強く受ける。両手持ちなら《強打》ダメージが倍になるのでなんとかなる場合が多いのだが……。

*9:《武器開眼》と《武器体得》